スタッフブログ
離れて暮らす親のケアにかかわるパオッコスタッフの日常とつぶやき、
そして遠距離介護に役立つ情報などをお届けします。
▼4月8日(土)のパオッコサロン
2011/04/13
まだ余震の続く中、4名でのサロンとなりました。
おひとりは宮城県にご実家があるとのこと。
一般車両が通行可能になった後に、バスで宮城入りし2週間滞在。東京に戻ったばかりとのことでした。
最初の1週間は「電話」もつながらなかったそうです。
親族一同が宮城におられ、自分だけが東京。
「離れていると、なにもできないもどかしさを感じました」と。
「向こうで燃料を節約しなきゃいけないと思ってストーブをつけないでいたら、風邪をひいてしまいました。
母に『いいのよ、使って』と言われて…」と自嘲気味に話されました。
実家が横浜という男性(東京在住)も初参加。
「東京と横浜と近いにもかかわらず、地震のときに夜11時まで電話がつながらず心配だった」と。
離れて暮らす家族。その「安全」が確認できるまで「心配でなにもできない」という意見で一致。
「今回の震災はとてつもなく大きいが、日本ではさまざまな災害で、小規模な停電や浸水はしょっちゅう起こっている」という男性も。
彼の出身地では、今年の正月は停電だったそうです。
サロンの前に、過去の新潟県の震災で実家が倒壊したという女性にも話を聞きました。
そのときは飛行機は飛んでいたし、すぐにむかえにいって、連れて帰ってきたと。
しかし、一時的避難と違って戻る家がないということは、これからどうするか、ということになります。
離れて暮らすということは、向こうの状況が見えないから不安が増大することといえるのでしょう。
だからこそ、海外での報道が実際以上に大きく流れ、外国人が日本にやってこない。
「むかし、僕がインドに旅行に行ってたとき、向こうで地震が起きたことがあるんです。
インドは広いし、一部の地域のことだと気にしてなかったのですが、
日本の親は大慌てで大使館にまで連絡していた、というようなことがありました」という声も。
長期化しそうです。
家族のこと、仕事のこと…、暮らしのこと…、それぞれが振り返らざるをえない状況だといえるでしょう。
次回サロンは5月14日(土)です。お待ちしております!(太田)
▼風評被害を打ち消したい
2011/04/09
原発事故の被災地や周辺自治体では、農産品も売れなくなる風評被害が起きています。心が痛いです。
事故から派生する2次被害、3次被害を防ぐため、私はこのような地域からの農産品を積極的に購入、消費しようと思っています。個人レベルで買う量なんかたかだか知れていますが、食べることで応援の気持ちを表明したいです。
基準値を超える物は市場に出ないし、もし不安ならよく洗えば良いと聞きました。
おととい、栃木産のとちおとめを食べました。粒が大きくてとてもおいしかったです。このようにすばらしい商品に不当な評価がつくなんて、怒りを感じます。
これから放射性物質や放射線とは残念ながら長いおつきあいになるのですから、私たちは正しい情報と知識を得て国民が助け合って暮らしていかなければならないと、昨日は友人と語り合いました。
いま、世界では原発の影響で日本産のものを敬遠する空気が広がっています。農産物だけでなく、工業品も。九州産のものも日本産ですから、危ないって言われる。とても理不尽に思います。
日本の中の福島は世界の中の日本の縮図。福島やその周辺を応援することは大きく言えば日本を応援すること。日本に対する風評被害ともみんなで戦っていかなければなりません。何が危険で何が安心かを広報するのは政府の重要な役割ですが、個人レベルでも正しい消費行動をとることで、何もかもが危ないわけではないということを発信する助けになったら良いと思います。 (シルヴィア)
▼被災地の親を呼び寄せる動き
2011/04/04
震災の後、離れて暮らす子世代が被災地の親を呼び寄せる動きが広がっているそうです。注意点をまとめた日経の記事をリンクします。参考にどうぞ。
被災地の老親を呼び寄せるには 介護サービス、手続きを(日本経済新聞)
呼び寄せてうまくいくケース、うまくいかないケース、呼び寄せはできないケース。色々あるようです。
福島県いわき市の親を東京に呼び寄せたものの、親はしばらく滞在したのち「やっぱり家に帰る」と言って帰ってしまったという話をネットで読みました。各々の生活があり、気持ちがあり。どれが正解ということは言えないですよね。
このたいへんな状況の中、みなさんがそれぞれの事情を乗り越えて、平安を取り戻せるように願っています。
(シルヴィア)
▼いま私たちに出来ること
2011/03/23
未曾有の大災害に直面している私たち。正しい知識・情報を得て、落ち着いて行動しましょう。首相官邸災害対策ページに各種の情報が出ています。
節電では、東京電力のサイトで今日の電力使用状況グラフがアップされています。毎時の電力消費量がグラフで示され、計画停電実施の有無もわかります。
義援金については色々なところで募金活動が展開されていますね。
「どこに寄付をしたら、どこにお金がいくのか」をまとめているブログがあります。少し情報が古いですが、寄付をする前に一読すると参考になります。
アフガニスタンでの街頭募金の様子をテレビで見ました。アフガンの人たちは自分たちが何十年もひどい目にあっていて、自分の生活も苦しいだろうに、日本に義援金を送ろうと募金箱にお金を入れてくれていました。ありがたくて、感激しました。 (シルヴィア)
▼東北関東大震災
2011/03/19
東北関東大震災で被害に遭われた皆さま、またそれに伴う原発事故で避難されている皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。まだまだ困難が続くを思いますが、1日も早く元気と日常生活を取り戻すことができるよう心から応援しています!
地震と津波では気の遠くなるような数の行方不明の方が一人でも多く救助されますように、安否が家族友人の元に届くよう祈るばかりです。また、亡くなられた方も大勢いらっしゃいます。どんなに無念だったことでしょう。謹んでご冥福をお祈りします。
地震、津波、原発事故と次々にたいへんな事態が発生していて、国民一致団結力を合わさないとこの国難は簡単には乗り切れません。一人一人が自分に何ができるか真剣に向き合う時ですね。
大変な状況の中、寒波の中、救助救援復旧活動に携わっている方々、福島第一原発でまさに命を懸けて困難な復旧作業や放水作業に携わっている方々に感謝という言葉をいくら並べてもたりません。最大の感謝と最大の敬意を表したいと思います。
私は東京で日常を送りながら事態の推移を見守っています。
今の段階で自分に出来ることは徹底節電と義援金を送ることです。そして落ち着いて日々粛々と過ごすこと。
被災地以外にお住まいのみなさま、正確な情報を得てパニックを起こすことなく、被災地と被災者を支援していきましょう! (シルヴィア)
▼ボランティアさんと食事会
2011/02/21
おとといの土曜日はボランティアでパオッコをお手伝いいただいているみなさまと新宿でランチをしました。男の方々もお誘いしたけど、ふたを開けたら女子会でした。
総勢15名。楽しかったです?
遠距離介護真っ只中の方、もうご卒業された方、いろいろな方がいらっしゃいます。セミナーの運営や日ごろの印刷物発送など、ボランティアさんなしにパオッコは成り立ちません。いつも大きなお力をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。
会計でお世話になっているOさんが食事会にプロっぽいおニューなカメラを持ってきていました。湯島天神で梅の写真を撮ってきたそうです。そのステキな写真はこちらです?
Oさん、いつもたいへんな仕事をひきうけてくださりありがとうございます。
この場を借りて、大感謝の気持ちを伝えます!!
(シルヴィア)
▼2月12日(土)のパオッコサロン
2011/02/14
パオッコの太田です。こんにちは。
12日のサロンには、お天気の悪い中、連休中というのに、はじめての方が3名も来てくださいました。
みんな両親は2人暮らし。
実家が「島」という男性のご両親は、地元の小規模多機能型居宅介護*を利用。
(*小規模多機能型居宅介護」は、平成18年度の介護保険制度の改正により創設された地域密着型サービスの一つ。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、「通所」を中心に、必要に応じて「訪問」や「宿泊」を組み合わせたサービスを、同じスタッフが一体的・継続的に提供するもの。((評判はいいのですが、経営上「赤字」になるケースが多く、あまり増えていないのが実情)
そこの小規模多機能には、看護師も在籍。
介護保険枠で、看護師が毎日訪問。血圧測定をしてくれるそうです。
うらやましいですね。
でも、「島」なので、帰省の交通費は10万ほどになるとか…。
介護保険とは別枠で、朝・昼・晩・両親とも配食サービスも利用されているそうです。(1人分1日1000円←安い!)
一方、親との確執(自分が幼少のころから)で、「介護帰省」が苦痛という方もいらっしゃいました。
同感する方も。
親子といっても、スムーズな関係ばかりとは限らない。
介護とは、それまでの親子関係があぶりだされます。
難しいテーマですね。
来てくださった方、ありがとうございました!
▼香山リカさんのコラム
2011/02/10
遠距離介護セミナー・遠距離介護準備セミナーの特別講演に登壇いただいた香山リカさんのコラムが毎日新聞のウエブに掲載されています。
2月8日にアップされた記事は「遠距離介護に悩む人へ」。
リンクを貼っておきます。
http://mainichi.jp/life/health/kokoro/
タグ: 遠距離介護
▼2011 謹賀新年
2011/01/07
新年おめでとうございます。
みなさまの一年が良い年となりますようにお祈りしています。
パオッコは今年も遠距離介護に役立つ情報を発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。そして、今年もセミナーをプラン中です。決まりましたらウェブで発表いたします。
さて、昨年の遠距離介護準備セミナーで参加者にプレゼントした ”遠距離介護の準備に役立つ冊子”が大好評でした。
「私も欲しいんですけど」というお問い合わせをたくさんいただいたので、セミナーにお越しいただけなかった方にも配布することになりました。
詳細はパオッコウェブトップページのバナーをクリックしてください。
2010遠距離介護準備セミナー東京会場のご報告が出来ていませんでした。とりあえず雰囲気だけでも写真でお伝えします。
タグ: テレビ、遠距離介護セミナー, パオッコの活動, 遠距離介護
▼2010遠距離介護準備セミナー 大阪セミナー報告
2010/11/18
先日11月8日に行われた「遠距離介護準備セミナー」 “どうする!? どうなる!? 離れて暮らす親の介護”のご報告です。
セミナーに参加してくださった方へは確認のため、
参加ができなかった方には、ちょっと長めのご報告です!
今回で4回目になったこのセミナー。150人ほどの来場者で大盛況!
開始時間30分前くらいから続々と来場して下さり、
受付でお渡しした冊子…今回セミナーの目玉です!…
「不安」を「行動」に変える知恵の保存版
遠距離介護 行動の3つの柱 対話・情報・お金
ゆっくりとご覧になっている方々がいっぱいいらっしゃいました。
さて、セミナー第1部は、
「体験者と専門家によるお悩み軽減!遠距離介護アドバイストーク」。
登壇者のお1人「白戸望氏」は介護支援専門事業所を開いていらっしゃいます。
ケアマネ試験の第1回目の合格者で、このお仕事に18年間取り組んでいらっしゃる大ベテラン。
「利用者の方がやってほしいと思っていることを、プランニングして実現したい!」
と、熱く語っていらっしゃいました。
もう1人の登壇者は「桶谷浩氏」。
社会保険労務士でもある桶谷さんは、実はパオッコの会員でもあり、遠距離介護の経験者。
「遠距離介護は10年前から。年に何回か帰省しながら親のお金の管理をしていましたが、その頃はそんなことは介護とはいわれていませんでした!」
「社会保険労務士としては、親の介護を考えている人が、やがてやってくるご自分の老後や介護資金をシュミレーションする人が少ないことが気になります」。
来場者からは、
「親と同居すると介護保険サービスが制限されてしまう。そのことをケアマネや行政に相談すると、『サービス利用の条件は別居』といわれてしまうが、それってヘン!」
と今の介護サービスへの疑問や、
「『親から離婚して面倒を見るべきだ』といわれてとても辛い」
「親を看ている自分に相続面での優遇があってもいいのでは?」
など、率直な意見が寄せられました。
■「同居していない介護」への負い目解消
親に介護が必要になった場合、まず一般的に頭に浮かぶのは「同居」です。自分たちの生活もあるため、なかなか同居ができない子はどうしても負い目を感じてしまいます。
しかし…白戸氏は、
「親は、自分が介護されるために子供のところに行くというのは耐え難く、自分が今生活をしているところで住み続けたいという思いが強い」
と呼び寄せられる親の気持ちを代弁し、
「高齢期になった親が、住み慣れた土地から離れるということ自体が大きなストレス。呼び寄せるのであれば、親が新しい土地でどのように生きていけるのかを考え立てから呼び寄せてほしいと思います」
と、呼び寄せ介護の弱点をキッパリ。
パオッコ理事長の太田氏は、取材での体験談を披露。
「身を切るような思いで公認会計士の仕事を辞め、同居介護に踏み切った女性。
仕事をやめたことを後悔し、悔し涙を流すのですが、
自分のために会社を辞め、後悔して泣いている娘の姿を見る親はどんな気持ちになっているだろうか?」
と視点を変えての問題点をあぶり出し、また
「都会に呼び寄せたあと施設入居になってしまった高齢者は、なかなか聞き取れない方言のためコミュニケーション不足になり、施設内で孤立しがち」
と、親の呼び寄せの難しさをあげていました。
「島根に住む母を東京へ呼び寄せるということは考えになかった」と桶谷氏。
「言葉も違うし環境も違う。東京での同居は住宅事情も考えても難しい。それだったら今まで住んでいる土地で施設入居を…と考えたのです」
と、遠距離介護の実践者の素直な気持ちが伝わってきました。
■ケアマネさんと介護サービス
介護保険で使えるサービスのほか、自治体や民間業者が行っているサービスがいろいろあります。
「介護サービスは、介護保険サービスを含めたくさんある。それらのサービスの中から親の希望にあったものをさがしてくれるのはケアマネさん。ケアマネによって介護は違ってきます。いいケアマネを捜してほしい」
「そして、親が住んでいる地域を担当している地域包括センターをもっと活用すべきです」
と遠距離介護のコツの一つでもあるケアマネさんとのつきあい方と、地域包括センターの利用をアドバイスした太田氏。
「こうしてほしい」という本人や子どもの意思をうまく受け取ってもらえない…つまり、意思疎通がうまくできない場合はどうすればいいのかという疑問がわきます。それに対して、
「最善策を考えてもらえないようであれば、ケアマネも、介護事業者も変えることができます」
と、白戸氏。
■介護の主役は親です
同居であっても、遠距離介護であっても、介護の主役はあくまでも親本人。
「いろんなサービスを使うことによって、その方らしい生き方を考えていくことが大切」「本人が一番望む生き方を支えていくべきだと考える」
と白戸氏は強調します。
「私たちが自分の人生を考えるように、親はどうしたいのか?と対話をしながら考えることが大切です」
と太田氏も声を揃え、その上で、
「親を中心にして、周りに子供、親族、地域、行政そして専門職がいるという介護スタイルがベストです。まずはチームを組み、1人で抱え込むのはやめましょう」
遠距離介護のスタイル提案に、会場の参加者は大きく頷いていたのが印象的でした。
■お金のこと
介護資金はとても大きな問題です。
遠距離介護をする人にとってはまず、問題になってくるのは帰省するための交通費。
「親が介護のために帰省してきた子に交通費を払うことで、来てもらっている負担感が軽減しているようだ」(太田氏)
と取材での親の話を織り込みながら、パオッコの会員の半数近くが親から交通費をもらっているというパオッコでのアンケート調査結果を披露。
この話に会場からは、『そうか?』という声なき声が聞こえてきました。
そして、今回のセミナーでの大きな話題でもある「同居をするために仕事をやめようと考えている方へのアドバイス」へ話が移っていきました。
「あと何十年かすると、我々は介護される側に回る。その時のことを同時に考えながら親の介護をしていく必要がある。
自分の老後にもお金が必要なのに、介護をしているときには、なぜかご自分の老後は見えていないし、そのことを考える人が少ない」
と、桶谷氏は警鐘を鳴らします。
「早く退職すると、年金と退職金が減る。そして、地方で再就職をすることができても生涯賃金は8割減が一般的。そう考えると、仕事をやめないで、今あるお金の中から交通費を出し、笑顔を見せてあげる方がベスト」
などの社会保険労務士の立場での発言は、会場の参加者の注目を浴びました。
太田氏も
「介護とお金ということは少し前までは「汚いこと」のようにいわれてきたが、遠距離介護で苦労してきた人ほどお金の大切さを訴えます。介護とお金は密接な関係にあるので、親の介護と同時に自分たちの生活設計も考える必要があります」
■最後に…
「介護はいろいろな立場の人と人とがコミュニケーションをする大きなきっかけ。みんなでやっていこう、という繋がりが大切です」と白戸氏。
桶谷氏は、「介護は長く続くものです。親だけではなく、自分の人生も考えるという視点が大切だと考えます」
最後に太田氏。
「介護は、介護をしている子が中心になりがちですが、親の人生をどう応援していくのかということです。
そのために、本人を取り巻く人たちと対話をし、情報を収集し、介護にいくらかけるのかを考え、自分自身の人生も考えていきましょう」と会場の参加者へのエールを送って終了しました。
第2部は精神科医 香山リカ氏の「親の老後、自分の老後」と題した特別講演。
香山氏も、北海道に暮らす親の遠距離介護をしていらっしゃるとか。
講演に先だっての太田氏との質疑応答で
「親の面倒を見なければいけないのに、病院で患者さんを看ていていいのだろうか?と悩むこともある」
「でも、親の介護と自分の仕事とは同じ次元で考えないようにしている」
と、ご自身の葛藤や何気ない回避の考え方などをお話しくださいました。
そして、「同居介護ができない」と負い目を感じている参加者に、
「親が子供を産んだとき、“自分を介護してくれる人を育てよう!”とは思ってはいないはず。“自立した大人に育てよう”と思って生んだはずです。ですので、自立した大人になった私たちの人生を大切にすべき」
とのアドバイスに頷く参加者が多数いました。
楽しいジョークを交えながらのトークで、
「頑張って介護をするのが親孝行!」と肩に力が入っている私たちの緊張をほぐしながら、精神科の医者として、そして遠距離介護者としての立場での講演に、セミナー参加者も真剣に聞き入っていました。