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離れて暮らす親のケアにかかわるパオッコスタッフの日常とつぶやき、
そして遠距離介護に役立つ情報などをお届けします。

▼2010遠距離介護準備セミナー 大阪セミナー報告

2010/11/18

先日11月8日に行われた「遠距離介護準備セミナー」 “どうする!? どうなる!? 離れて暮らす親の介護”のご報告です。

セミナーに参加してくださった方へは確認のため、
参加ができなかった方には、ちょっと長めのご報告です!

今回で4回目になったこのセミナー。150人ほどの来場者で大盛況!
開始時間30分前くらいから続々と来場して下さり、
受付でお渡しした冊子…今回セミナーの目玉です!…

 「不安」を「行動」に変える知恵の保存版
  遠距離介護 行動の3つの柱 対話・情報・お金

ゆっくりとご覧になっている方々がいっぱいいらっしゃいました。

冊子の説明をする太田理事長

冊子の説明をする太田理事長

冊子の表紙

冊子の表紙

さて、セミナー第1部は、
「体験者と専門家によるお悩み軽減!遠距離介護アドバイストーク」

1部登壇の3氏, 左から太田理事長,白戸氏,桶谷氏

1部登壇の3氏, 左から太田理事長,白戸氏,桶谷氏

登壇者のお1人「白戸望氏」は介護支援専門事業所を開いていらっしゃいます。
ケアマネ試験の第1回目の合格者で、このお仕事に18年間取り組んでいらっしゃる大ベテラン。
「利用者の方がやってほしいと思っていることを、プランニングして実現したい!」
と、熱く語っていらっしゃいました。

もう1人の登壇者は「桶谷浩氏」。
社会保険労務士でもある桶谷さんは、実はパオッコの会員でもあり、遠距離介護の経験者。
「遠距離介護は10年前から。年に何回か帰省しながら親のお金の管理をしていましたが、その頃はそんなことは介護とはいわれていませんでした!」
「社会保険労務士としては、親の介護を考えている人が、やがてやってくるご自分の老後や介護資金をシュミレーションする人が少ないことが気になります」。

来場者からは、
「親と同居すると介護保険サービスが制限されてしまう。そのことをケアマネや行政に相談すると、『サービス利用の条件は別居』といわれてしまうが、それってヘン!」
と今の介護サービスへの疑問や、
「『親から離婚して面倒を見るべきだ』といわれてとても辛い」
「親を看ている自分に相続面での優遇があってもいいのでは?」
など、率直な意見が寄せられました。

■「同居していない介護」への負い目解消
親に介護が必要になった場合、まず一般的に頭に浮かぶのは「同居」です。自分たちの生活もあるため、なかなか同居ができない子はどうしても負い目を感じてしまいます。
しかし…白戸氏は、
「親は、自分が介護されるために子供のところに行くというのは耐え難く、自分が今生活をしているところで住み続けたいという思いが強い」
と呼び寄せられる親の気持ちを代弁し、
「高齢期になった親が、住み慣れた土地から離れるということ自体が大きなストレス。呼び寄せるのであれば、親が新しい土地でどのように生きていけるのかを考え立てから呼び寄せてほしいと思います」
と、呼び寄せ介護の弱点をキッパリ。

パオッコ理事長の太田氏は、取材での体験談を披露。
「身を切るような思いで公認会計士の仕事を辞め、同居介護に踏み切った女性。
仕事をやめたことを後悔し、悔し涙を流すのですが、
自分のために会社を辞め、後悔して泣いている娘の姿を見る親はどんな気持ちになっているだろうか?」
と視点を変えての問題点をあぶり出し、また
「都会に呼び寄せたあと施設入居になってしまった高齢者は、なかなか聞き取れない方言のためコミュニケーション不足になり、施設内で孤立しがち」
と、親の呼び寄せの難しさをあげていました。

「島根に住む母を東京へ呼び寄せるということは考えになかった」と桶谷氏。
「言葉も違うし環境も違う。東京での同居は住宅事情も考えても難しい。それだったら今まで住んでいる土地で施設入居を…と考えたのです」
と、遠距離介護の実践者の素直な気持ちが伝わってきました。

■ケアマネさんと介護サービス
介護保険で使えるサービスのほか、自治体や民間業者が行っているサービスがいろいろあります。

「介護サービスは、介護保険サービスを含めたくさんある。それらのサービスの中から親の希望にあったものをさがしてくれるのはケアマネさん。ケアマネによって介護は違ってきます。いいケアマネを捜してほしい」

「そして、親が住んでいる地域を担当している地域包括センターをもっと活用すべきです」
と遠距離介護のコツの一つでもあるケアマネさんとのつきあい方と、地域包括センターの利用をアドバイスした太田氏。

「こうしてほしい」という本人や子どもの意思をうまく受け取ってもらえない…つまり、意思疎通がうまくできない場合はどうすればいいのかという疑問がわきます。それに対して、
「最善策を考えてもらえないようであれば、ケアマネも、介護事業者も変えることができます」
と、白戸氏。

熱いトークが続きました

熱いトークが続きました

                                                                                               
■介護の主役は親です
同居であっても、遠距離介護であっても、介護の主役はあくまでも親本人。
「いろんなサービスを使うことによって、その方らしい生き方を考えていくことが大切」「本人が一番望む生き方を支えていくべきだと考える」
と白戸氏は強調します。

「私たちが自分の人生を考えるように、親はどうしたいのか?と対話をしながら考えることが大切です」
と太田氏も声を揃え、その上で、

「親を中心にして、周りに子供、親族、地域、行政そして専門職がいるという介護スタイルがベストです。まずはチームを組み、1人で抱え込むのはやめましょう」
遠距離介護のスタイル提案に、会場の参加者は大きく頷いていたのが印象的でした。

■お金のこと
介護資金はとても大きな問題です。
遠距離介護をする人にとってはまず、問題になってくるのは帰省するための交通費。
「親が介護のために帰省してきた子に交通費を払うことで、来てもらっている負担感が軽減しているようだ」(太田氏)
と取材での親の話を織り込みながら、パオッコの会員の半数近くが親から交通費をもらっているというパオッコでのアンケート調査結果を披露。
この話に会場からは、『そうか?』という声なき声が聞こえてきました。

そして、今回のセミナーでの大きな話題でもある「同居をするために仕事をやめようと考えている方へのアドバイス」へ話が移っていきました。

「あと何十年かすると、我々は介護される側に回る。その時のことを同時に考えながら親の介護をしていく必要がある。
自分の老後にもお金が必要なのに、介護をしているときには、なぜかご自分の老後は見えていないし、そのことを考える人が少ない」
と、桶谷氏は警鐘を鳴らします。

「早く退職すると、年金と退職金が減る。そして、地方で再就職をすることができても生涯賃金は8割減が一般的。そう考えると、仕事をやめないで、今あるお金の中から交通費を出し、笑顔を見せてあげる方がベスト」
などの社会保険労務士の立場での発言は、会場の参加者の注目を浴びました。

太田氏も
「介護とお金ということは少し前までは「汚いこと」のようにいわれてきたが、遠距離介護で苦労してきた人ほどお金の大切さを訴えます。介護とお金は密接な関係にあるので、親の介護と同時に自分たちの生活設計も考える必要があります」

■最後に…
「介護はいろいろな立場の人と人とがコミュニケーションをする大きなきっかけ。みんなでやっていこう、という繋がりが大切です」と白戸氏。

桶谷氏は、「介護は長く続くものです。親だけではなく、自分の人生も考えるという視点が大切だと考えます」

最後に太田氏。
「介護は、介護をしている子が中心になりがちですが、親の人生をどう応援していくのかということです。
そのために、本人を取り巻く人たちと対話をし、情報を収集し、介護にいくらかけるのかを考え、自分自身の人生も考えていきましょう」と会場の参加者へのエールを送って終了しました。

第2部精神科医 香山リカ氏の「親の老後、自分の老後」と題した特別講演

Q&Aに答える香山リカ氏

Q&Aに答える香山リカ氏

香山氏も、北海道に暮らす親の遠距離介護をしていらっしゃるとか。
講演に先だっての太田氏との質疑応答で
「親の面倒を見なければいけないのに、病院で患者さんを看ていていいのだろうか?と悩むこともある」
「でも、親の介護と自分の仕事とは同じ次元で考えないようにしている」
と、ご自身の葛藤や何気ない回避の考え方などをお話しくださいました。

そして、「同居介護ができない」と負い目を感じている参加者に、
「親が子供を産んだとき、“自分を介護してくれる人を育てよう!”とは思ってはいないはず。“自立した大人に育てよう”と思って生んだはずです。ですので、自立した大人になった私たちの人生を大切にすべき」
とのアドバイスに頷く参加者が多数いました。

楽しいジョークを交えながらのトークで、
「頑張って介護をするのが親孝行!」と肩に力が入っている私たちの緊張をほぐしながら、精神科の医者として、そして遠距離介護者としての立場での講演に、セミナー参加者も真剣に聞き入っていました。

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