遠距離介護コミュニティ

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兄弟姉妹

離れて暮らす親のケアにかかわるパオッコスタッフの日常とつぶやき、
そして遠距離介護に役立つ情報などをお届けします。

▼車いすで浴衣

2008/09/16

世間で流行るというブログ、懐古趣味の私も参加してみんとて、おずおずと……カナコです。
東京都在住の40代、読書とパズルが好きな、自称(←ひとから言われる前に)ダメ長女。西日本にいる両親の2人暮らしを心配する一方、たまには隣県の施設にいる義母を訪ねるこのごろ。

大腿骨骨折後に認知症らしき症状の出はじめた義母は今、自分の息子の認識もおぼつかない様子ですが、車いすで穏やかに過ごしています。
今月はじめ、施設でお祭りがありました。日ごろから、お花見やら園芸教室、おやつバイキングなどなど、おりおりに楽しい行事を企画してくださっているのですが、なかでもこのお祭りは広く家族も招待してにぎやかな催しになります。職員のかたたちが浴衣姿で雰囲気を盛り上げ、希望すれば利用者本人にもボランティアのかたが浴衣を着付けしてくださるのがうれしい。
車いすの義母は去年のお祭りのとき、背中でなく前で帯を結んでもらっていました。背もたれで帯がつぶれることもなく、ちょっとかわいい感じ。

頻繁に面会しないので、せめてノリのいいところを見せようと、今年もまた義母に着せてもらう浴衣一式を事前に施設にお預けしました。そのうえ、「奥さんもぜひ浴衣でどうぞ」の言葉をまにうけて、私も何年かぶりに浴衣、着ましたとも。
車に乗るのに、車いすで浴衣のときの着こなしが参考になりました。まあ、前で帯を結んだまま乗って、降りたら背中に回せばいいんですけど、今回は、「貝の口」結びを試したのです。雑誌『かいごの学校』去年の7月号だったかで、楽に着られる浴衣、帯のリフォームのアイデアを見て、「これはいい!」と思っていたので。「作り帯」を用意まではしていませんでしたが、車の座席でも背中がごろごろしなくてよかった。

義兄と夫と私の3人でそろって参加したお祭り。前回の面会時もでしたが、あれこれ話しかけても義母からはひとことも返事なし。「いつもまわりの人たちとなごやかにしているんだから、いいよね?」「小さい子を見かけると、ぱあっと笑ってたし」「いっぱい食べてたね」と慰め合って帰る3人なのでした。

この施設が義母の「終(つい)のすみか」とはなりえないことを承知で、現状ではできるだけ長くここで過ごさせてもらいたいと願っています。でも、先のことを考えて何か手を打っておかなくては……。

◇最近の読書から。ロンドン郊外の小さな老人ホームに母を訪ねる主人公の心中。言葉の通じない母と過ごす時間よりも、別れぎわのほうがつらい。

「自分は母を裏切っている、母を人生の残骸の中に放置して豊かな日常のほうへ、自分自身の人生の秘蔵庫のほうへ忍び足で逃げ去っているという気がしてならないのはこの瞬間である。そうした罪悪感にもかかわらず、老人たちの住まいに背を向けて歩み去り、車のキーをポケットから取り出すとき、気分がわずかに高揚して足取りも軽くなることは否定できない。自分は、母のものではありえない自由を手にしようとしているのだ。」
――イアン・マキューアン『土曜日』(小山太一訳、新潮社クレストブックス、2007年)より

nishimura

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遠距離介護の実践

▼終の棲家

2008/08/30

 今日は父親の90歳の誕生日でした。

 ということで、スタッフブログ私個人の最初のカキコミをします。

 父親は2年ほど前からグループホームに入所していました。今年の正月は雪の中を財布を忘れたと大騒ぎし(お金は1円も使わないのに)雪の中を施設に帰るというほどの元気を見せていました。

 それが、春に硬膜下出血をおこして入院、退院して回復の兆しを見せたものの、こんどは水頭症を併発。最近は全く食事が取れない状態になりました。

 グループホームは「常時鼻腔から栄養を挿入するような」状況になれば残念ですが退所せざるを得ません。「最低限の自立歩行」が入所の要件であるのが普通でしょう。ただ寿命はこれから先どうなるか全くわからない。明日かもしれないし何年か先かもしれない、でも現実には寝たきり(本当の意味で寝たきり)の老人がいる。一体どうしたらいいのか、困りました。

 現在は幸いにも病院で、入院しても良いといわれているところがあり、そちらにお世話になっています。しかし、周囲から、本当に長く病院にいられるの? と聞かれたりしますがそれはわかりません。でも今は何か言われるまではそれで続けていくしかありません。医療機関での長期入院は厚生労働省の最も嫌がるところで、何か言われるかもしれない。しかし退所したら次に行くところはどうするのか?病院のたらいまわしをするのか?

 今、病院から、「うちは介護施設ではありませんから、頻繁に患者さんを見に来てください」と釘を刺されています。幸い自分は遠隔地介護ですが、姉は近所にいるのでしょっちゅう行ってもらっている。とてもありがたい限りですが、もしも姉も遠隔地にいたら一体どうしたんだろう、今の病院ではお世話になれなかった。他でも受け入れ困難だったかもしれない。

 現実にこういうことで悩まれる方も多いと思いますが、突然何がどうなるかわからない。介護が完全に終るまでは介護の悩みは尽きないですよね。

 グループホーム、それ自体はなかなかいい制度ですけれど、じゃあ認知証や身体の不自由が進んでどうしようもなくなった場合には退所して、次の受け入れ先を探すような羽目になる。これはまたこれで大変な事なんだろうと思います。

 グループホームに入所するのはいいですが、入所時点で退所になる用件、退所した場合に退所された方がどういう身の振りをされたのか、そういうことを施設の人によく聞いて心の準備をしておくことも大切な事かもしれません。

 

 

 

oketani

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